大作沢 2

- 早池峰山(中岳) -

  1. HOME
  2. 沢の扉
  3. 北東北の沢

大作沢 1

仲間3名で早池峰山の大作沢を遡行して参りました。本当は単独で行く予定でしたが、遡行前日のお昼頃「私も、ぜひ行ってみたい!」とのご相談があり、急遽仲間二人加わり3名で行くことに決定したのでした。峰南荘向の駐車場5時15分出発

2024年7月21日撮影

大作沢 2

清廉の滝にて。この滝が見えれば、大作沢の出合いは近い!この沢は日本登山体系に掲載されおり、次のように紹介されています。『2段80m、3段100mの滝があり、流域では最も充実した遡行を楽しめる。』と。以前(20年以上前)より気になっていた沢の一つですが、何故か?まったく遡行記録が出てこない…。沈黙を破ったのが、2020年9月27日に遡行されたbaltoro04さん(ヤマレコ)の遡行記録です。

2024年7月21日撮影

大作沢 3

それ以降、2021.09.03のヤマセミさん(ヤマップ)、2023年08月11日のmikiosamさん(ヤマレコ)の遡行記録があるのみです。これら3件の貴重な遡行記録では、いずれも10時間~13時間も掛っています。飯豊の沢に向けて良いトレーニングになりそうです。清廉の滝をちょっと過ぎたこの古い道標が目印(沢への下降ポイント)です。ここより廃林道を下って大作沢の出合に至ります。

2024年7月21日撮影

大作沢 4

中々歩きやすい廃林道でした。

2024年7月21日撮影

大作沢 5

本流徒渉をして大作沢の出合へ。目と鼻の先です。今回急遽メンバーに参加してくれたKさんとTさんです。

2024年7月21日撮影

大作沢 6

いざ、大作沢へ入渓!峰南荘駐車場より40分でした。

2024年7月21日撮影

大作沢 7

2週間前の7月6日に偵察で来ているので、沢沿いに遡行するより脇を歩いた方が楽だし断然に早いです。1010mの二俣までは、こんな感じの所をひたすら進みます。

2024年7月21日撮影

大作沢 8

朝は涼しくて清々しくて気分爽快です。

2024年7月21日撮影

大作沢 9

1010mの二俣に到着!峰南荘駐車場りここまで1時間25分、大作沢出合より45分、なかなか順調なペースです。ここから先は、渓相がガラリと変わり滝とゴルジュのオンパレードです。

2024年7月21日撮影

大作沢 10

ゴーロ歩きからダイナミックな渓相に変化していきます。

2024年7月21日撮影

大作沢 11

メンバーのTさんは「早池峰山、大好き人間!」なんだそうです。厳冬期に単独で登ったこともあるとか…。

2024年7月21日撮影

大作沢 12

1050mのこの滝を皮切りに滝とゴルジュのオンパレードの始まり始まり~!標高1300mまで延々と続き、楽しいのなんのってぇ~♪

2024年7月21日撮影

大作沢 13

ラバーの沢靴での遡行、今回で2回目です。先週の岩手山・正徳沢では全体を通してフリクションはバッチリでした。今回は、どうやらバッチリの所と滑る所があるようで、慎重に足場を確認しながら遡行します。

2024年7月21日撮影

大作沢 14

快適に直登できるばかりで、KさんもTさんも大喜びです♪

2024年7月21日撮影

大作沢 15

ここは左壁を直登!

2024年7月21日撮影

大作沢 16

小滝を登るTさんとKさんです。ベテランのKさんがTさんを上手にフォローしてくれるので安心です。

2024年7月21日撮影

大作沢 17

盛夏だというのに、水は結構冷たかったです。さすが2,000m急の山の沢です。

2024年7月21日撮影

大作沢 18

小滝をどんどん登っていきます。

2024年7月21日撮影

大作沢 19

ナメも随所に出てきて癒されます。

2024年7月21日撮影

大作沢 20

快適快適♪

2024年7月21日撮影

大作沢 21

1090mの二俣が見えてきました~!

2024年7月21日撮影

大作沢 22

ここが1090mの二俣です。峰南荘駐車場よりここまで1時間45分、出合から1時間5分、かなり良いペーです。2週間前の偵察山行の賜物かも。小田越からの最終バス16時12分に間に合わせたいので…。これを逃すと車道を8キロ(約2時間)歩かなければなりませんゆえ。この先、右のゴルジュ帯が本流です。

2024年7月21日撮影

大作沢 23

そのゴルジュ帯に突入!楽しく突破できます。

2024年7月21日撮影

大作沢 24

そのゴルジュ帯をどんどん進んでいきます。一見難しそうに見えますが、容易に登れます。2週間前の偵察山行時は、ここを抜けた所で引き返しました。

2024年7月21日撮影

大作沢 25

そのゴルジュ帯の上部にて。容易に水線突破できます。

2024年7月21日撮影

大作沢 26

その溝のようなゴルジュ帯を突き進むTさんとKさんです。

2024年7月21日撮影

大作沢 27

そのゴルジュ帯を抜けた後は、私にとって未知の世界でワクワクします。

2024年7月21日撮影

大作沢 28

お二人が先に聳える光景に感動している様子。それが…

2024年7月21日撮影

大作沢 29

これで~す!おぉ~中々のゴルジュです。ゴルジュ帯を抜けたと思ったら、またゴルジュです。

2024年7月21日撮影

大作沢 30

左壁を利用し、快適の登っていきます。

2024年7月21日撮影

大作沢 31

そのゴルジュ帯を登っている姿を上から撮影。

2024年7月21日撮影

大作沢 32

まだまだ続く溝のようなゴルジュ帯…。一体どこまで続くのだろう?

2024年7月21日撮影

大作沢 33

そのゴルジュ帯の出口にて。今回、私の事故現場の滝だったと記憶しています。単独であれば間違いなく巻いていた所ですが(左より簡単に巻ける)今回は頼もしいメンバーと一緒でしたので、ちょっと欲が出てしまったのがいけなかった…。登れる!と判断し直登したところ、思いの外、水が冷たく水勢も強く、もう一手で抜けられる!という所で不意にスリップし滑落。

2024年7月21日撮影

大作沢 34

決して難しい滝ではなく水の冷たさと勢いに耐えきれずムーブが雑になってしまったことと、ラバーを過信していたことが原因です。その後、雨具を着て再度取り付き登ったところ、楽勝でしたので。落ちた際、体を守ろうと条件反射で左手を突いてしまって怪我をしてしまいました。それ以降、激痛で左手は使い物にならず…。ちなみに、お二人は私の滑落現場を見ていません。私が先行して登っていたので…。

2024年7月21日撮影

大作沢 35

それ以降、左手は使えなくなりましたので(激痛で)右手一本で登っていきました。これまで遡行してきたゴルジュや滝を右手一本で下降するのは無理、登った方が安全!と判断しましたゆえ。カッパを着込みシャワーを被りながらどんどん登っていきます。

2024年7月21日撮影

大作沢 36

まだまだ続くゴルジュ帯…。私が登った5分後にお二人が追い付いてきました。落ちるところ、お二人に見られなくて良かった~!頑張るTさんです。

2024年7月21日撮影

大作沢 37

これも~!怪我はしたものの私自身含めパーティー内の悲壮感は全くなく、いつも通り冗談言い合ったりして皆で楽しく遡行を続けていました。

2024年7月21日撮影

大作沢 38

この滝は右手一本では、登れそうになく左壁より小さく巻きました(容易)。今回、唯一高巻いた滝です。

2024年7月21日撮影

大作沢 39

奥に鶏頭山が見えます。滑落後の休憩地点(1,200m地点)。ここでサブリーダーのKさんに初めて怪我したことを打ち明けました。さすがに隠し通せないと思いましたので…。この先、私が登れない滝が出てきたら(右手一本で)申し訳ないけどKさん、リードを頼んでいいかな?と。そしたら「任せて下さい!」と頼もしいお返事をいただき嬉しく思いました。

2024年7月21日撮影

大作沢 40

痛みはありましたが、いつも通り明るく楽しく振る舞うように心がけました。そう、リーダーはどんな時も沈着冷静でなければいけませんので。お二人の目の前に飛び込んできた絶景とは…

2024年7月21日撮影

大作沢 41

標高1210m、80m滝の始まりで~す!2級程度の岩登りで右手一本だけでも快適に登っていけました。

2024年7月21日撮影

大作沢 42

どんどん登っていきます。80mの滝をこんなにも楽しく(しかも右手一本で)登れるなんて~!感動モンです。

2024年7月21日撮影

大作沢 43

あまりにも楽しくて、怪我をしていることすら忘れてしまったほどです。

2024年7月21日撮影

大作沢 44

80mの滝登りを満喫しているTさんとKさんです。

2024年7月21日撮影

大作沢 45

この沢、超楽し~い♪明るくて開放的!まるで谷川連峰の沢を登っているような感じでした。この渓相、岩手秋田にはあまりない渓相です。

2024年7月21日撮影

大作沢 46

階段状で全く問題ありません。しかも、ラバーはバチ効きです。

2024年7月21日撮影

大作沢 47

再び二人が見上げる感動的な光景が…

2024年7月21日撮影

大作沢 48

80m滝の2段目です。ここも快適に登れます。

2024年7月21日撮影

大作沢 49

2段目も快適に楽しく登れますよ。

2024年7月21日撮影

大作沢 50

登れど登れどどこまでも続く滝、滝、そして滝…。怪我のことなどすっかり忘れ楽しんでいました。

2024年7月21日撮影

大作沢 51

大作沢、明るい渓で開放的な気分になります。まさに谷川連峰の沢に雰囲気が似ていました。KさんもTさんも大喜びでしたよ。

2024年7月21日撮影

大作沢 52

80m滝の上部(落口)にて。ここは結構立っていて右手一本では登れそうになく左岸(向かって右側)より小さく巻きました(容易)。お二人は直登したような…。

2024年7月21日撮影

大作沢 53

この開放感、堪ら~ん♪

2024年7月21日撮影

大作沢 54

標高1290m、100m滝の始まりです。ここも快適に登れます。

2024年7月21日撮影

大作沢 55

階段状で右手一本でも容易に登れました。

2024年7月21日撮影

大作沢 56

その100m滝の出口付近にてTさんとKさんです。サブリーダーのKさんが親切丁寧にTさんのことをフォローし面倒を見てくれて助かりました。感謝!

2024年7月21日撮影

大作沢 57

標高1360mにある最後の滝(溝)、これ以降、滝は出てきませんでした。

2024年7月21日撮影

大作沢 58

我々は標高1390mで本流より離脱し薄いハイマツ帯に進路を取りました。点在する岩群を繋ぐようなルートで中岳を目指しました。

2024年7月21日撮影

大作沢 59

標高1560mにて「喜びのポーズ」を取るKさんです。このハイマツ帯のツメ、最初は薄くて良かったのですが、中間部が特にひどく「ハイマツ地獄(背丈を没するハイマツ)」に陥り苦しめられました。右手一本でのハイマツ漕ぎは大変な重労働でしたが、途中でKさんが「トップを交代させてください!私にルーファイさせてください!」と言ってくれてホント助かりました。

2024年7月21日撮影

大作沢 60

この最後のツメ(ハイマツ漕ぎとルートファンディング)が大作沢の最大の核心部でした。これさえなければ、最高の沢なのになぁ~!地獄のハイマツ、単独で来ていたら、きっと心が折れていたかも知れません。今回、三人で来れてほんと良かった!

2024年7月21日撮影

大作沢 61

傾斜が緩む1600m付近以降は、ハイマツ帯から脱却できスッキリした樹林帯を歩くことが出来ました。ここが「パラダイス(天国)」のように思えたほどです。鹿の獣道を利用して中岳登山道を目指しました。

2024年7月21日撮影

大作沢 62

無事中岳登山道に到着!本流から離脱した1390mからハイマツ帯を漕ぎ中岳登山道まで約2時間10分も掛かりました。実際は、もっと長く感じましたが…。疲れた体を高山植物が癒してくれました。

2024年7月21日撮影

大作沢 63

猛暑の影響か?ハヤチネウスユキソウがちょっと干からびていました。そうそう、今回はメインロープ30m、補助ロープ20mを持参しましたが、結局一度も使いませんでした。

2024年7月21日撮影

大作沢 64

登山道から早池峰山を目指します。最終バスに余裕で間に合うことが分かり、お花見を楽しんだりタップリ休憩したりしながら、のんびりと登りました。

2024年7月21日撮影

大作沢 65

早池峰山に到着!多くの登山者で賑わっていました。この大作沢の満足度の評価を三ツ星にするか?二ツ星にするか?正直悩みましたが、敢えて二ツ星とさせて頂きました。上部のツメの苦労がなければ間違いなく三ツ星の沢なですが…。

2024年7月21日撮影

大作沢 66

早池峰山頂避難小屋 が新しくなっていてビックリしました。老朽化にともない、去年、改築され新しくなったとか…。

2024年7月21日撮影

大作沢 67

小屋の中もピカピカです♪

2024年7月21日撮影

大作沢 68

コバイケイソウが咲き乱れていました。沢とお花見が楽しめて幸せです。

2024年7月21日撮影

大作沢 69

梯子場では大渋滞でした。

2024年7月21日撮影

大作沢 70

沢の中は、爽やかで気持ち良かったのですが、下山中は猛暑で汗だく状態になりました。早くビールが飲みたいよ~!

2024年7月21日撮影

大作沢 71

あともう少しで小田越です。この大作沢、全部で3つのパートに分かれます。①標高1,010m二俣までのゴーロ歩き ②その二俣から標高1,300m付近までのゴルジュ帯と滝のオンパレード区間 ③標高1,390mから中岳登山道までのハイマツ帯。

2024年7月21日撮影

大作沢 72

14時30分、無事 小田越登山口に到着!最終一本手前のバス、15時42分に間に合いました。万が一16時12分の最終バスに乗り遅れてしまうと、岳までの車道を8キロ約2時間も歩かなければなりません。帰宅後、最後のハイマツ漕ぎを回避し短時間で下降できるルートを模索し素敵なルートを発見!帰路、大迫の「ぶどうの湯(500円)」で汗を流したのですが、右手一本だと体を上手く洗えないわ(特に背中)パンツを履くのにも一苦労…。

2024年7月21日撮影

大作沢 73

バスは超快適♪ Kさん、Tさん、ほんとお疲れさまでした。そして私の山行計画にお付き合いいただきありがとうございました!怪我はしたものの、ほんと楽しい山行でした!感謝!

2024年7月21日撮影

大作沢 74

翌日 近所の整形外科(大澤クリニック)で診てもらったところ、何と左手首骨折と診断されました。打撲、運が悪くてヒビ程度に考えていた私ですが、道理で痛かったワケです。左手が使えないだけで、こんなにも不自由だなんて…。これからは(治ったら)左手に感謝しながら生きていこうと思います。

2024年7月21日撮影

GPSの軌跡 ※クリックで拡大

<2024年7月21日(日)>
行動時間 9時間10分(休憩時間含む)
登り:5時間30分 / 下り:3時間40分

岳・峰南荘駐車場(5時15分)~大作沢出合(5時55分)~1,090m二俣(7時)~C1290・100m滝(8時)~C1390・本流より離脱(8時35分)~中岳登山道(10時45分)~早池峰山(12時40分)~小田越(14時25分)
  1. HOME
  2. 沢の扉
  3. 北東北の沢