ヒマラヤの扉について
1989年にパキスタン・ヒマラヤのカラコルム、ディラン峰(7,257M)へ遠征した時のものです。我々は当時未踏の北稜ルートに挑みましたが、力及ばず登頂できませんでした。
日本人にも馴染み深いこの山を世に知らしめたのは、1965年京都府岳連カラコルム登山隊にドクターとして参加した北杜夫の小説「白きたおやかな峰」だと思います。彼は帰国後、遠征の記録をもとに、この本を書き下ろしています。そして、作中の中でこのディランを次ように謳っているのです。
「おとぎの国の魅惑に満ちた特別製の砂糖菓子のように眩く光り輝き、裸身を剥き出しにして一同を差し招く純白のあえかな美女」と。