安栖沢(あずまい)沢

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秋田駒ケ岳 安栖沢 1

安栖沢を遡行するのは17年振りです。 いわゆる宿題を片付けにやって参りました。

今回は単独ですので、車の回収用に 自転車を利用しました。アクアを購入し 初めて自転車を積みます。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 2

10.5キロの長~い林道歩き… 車2台で行けば、かなり短縮可能です。 この林道を歩いている時のこと、なんと熊さんに遭遇しました!

その距離わずか3メートル! 木の上でくつろいでいた熊がビックリして 猛ダッシュで私の前に着地! 森へ逃げていきました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 3

林道、車が入れそうなのは、650m付近までです。 それ以降は、完全な廃道(ヤブ)状態です。 釣り師の入渓が多いのか、踏み跡は明瞭でした。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 4

ここが林道終点の目印です。 地形図に記載されている場所と同じでした。 ここより適当に沢へ下ります。 枝沢を利用して下りました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 5

ゴルジュ帯は、標高500m~640m区間、 降り立った場所は700m付近です。 思いの外、水量多く規模の大きな沢でした。

雨天時で増水したら大変だと思います。 今回は真夏日を思わせる猛暑でした。 具合悪くなるほどの炎天下で参りました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 6

今、私の手元には2冊の沢に関する本があります。 一冊目は18年前に白山書房から出版された 『日本の渓谷98/99』、もう一冊は8年前の 山岳雑誌『山と渓谷』2009年7月号です。

どちらの本にも今回遡行した安栖沢の 遡行記録が記載されています。 この超マイナーな沢が、少しは世に知られる きっかけになった本かもしれません (『日本登山体系』にも記載されてはいるが)。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 7

私が始めて安栖沢へ入渓したのは、 今から17年前の2000年8月のこと。

当時、私のクライミングパートナーだったKさんより 「凄いゴルジュがあるんだ!酔いどれさんと だったら突破できるかもしれない!」と 誘われたのがきっかけでした。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 8

当時、岩手にUターンしてまだ3年目の 私にとって安栖沢の存在すら知らず 「へぇ~そんな沢、あるんだね!」って無関心状態 (登山体系に載っていることすらわからなかった)。

そのKさんが「2キロにも及ぶ凄いゴルジュ!」 と絶賛しているくらいだから、きっと凄いのだろう (彼は2度も偵察山行していた)。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 9

で、実際に行ってみたら彼の言うとおり ほんと凄かった!

ここ岩手(雫石町)にも 飯豊やアルプスに匹敵するほどの 凄いゴルジュを持った沢があっただなんて~! ほんと身震いしました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 10

本気モードで挑まないと突破できないほどの 困難さ!膨大な水量に圧倒され恐怖を感じる ほどでした。

深い釜を持ったいやらしい滝の連続、そして、 聳え立つ側壁に驚愕しました。ゴルジュ帯の 突破は、まさに困難の連続で「5級の沢」 そのものでした。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 11

その時(17年前)は、標高500m~640m付近に ある「ゴルジュ帯の突破」だけが目的でしたので 日帰り装備で挑み、ゴルジュを抜けた後は、 林道に上がって遡行終了としました。

先に述べた『日本の渓谷98/99』の遡行記録を見たのは、その後のことです。とはいうものの、 登山体系に記載されているほどの沢ですから、 他にも遡行者は少なからずいると思います (多くはないと思いますが)。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 12

今回の山行で唯一高巻いた深い釜を持った2m滝 870m付近にあり。右岸より小さく高巻く。 あまりの猛暑に日陰を選びながら遡行しました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 13

17年前、ゴルジュ帯のみを遡行したあと 「いつかこの上も遡行してみたいな♪」って ず~っと思っていました」 気付けばあれから17年の 歳月が経過していました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 14

その『日本の渓谷98/99』の中で遡行記録を 発表しているのは、去年、日本最難ゴルジュとして 残されていた称名川本流を完全遡行した あの大西良治さんです。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 15

960mにあるプチゴルジュ。 容易に突破できます。 彼は、その本の中で次のように述べています。

『2キロのゴルジュを持つという安栖沢は以前から 「日本登山体系」を読んで気になっていた沢であり それ以外に記録が見つからず、何か謎めいた 沢である。今回は、その全貌を明らかにする ためにこの沢を遡行することにした』と。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 16

もう一冊の「山と渓谷」2009年7月号の中で この安栖沢、『全国隠れ名渓』特集として 紹介されています。

核心部を端折ってゴルジュ帯の上(林道終点)から 遡行するルートが紹介されており、次のように 記載されています。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 17

『葛根田川は沢登りで有名だが、国道46号線 沿いに流れる竜川の支流に安栖沢はある。 安栖沢は、滝らしい滝やゴルジュもなく、ブナを 中心とする広葉樹の森に苔むしたゴーロの沢が 続く。

そして沢を詰めると千沼ヶ原湿原へ出る。ダイナミックな沢ではないが、八幡平らしい 美しい沢だ。遡行後、乳頭温泉でいで湯も 楽しめる。』と。 まさに単独遡行にはピッタリの沢じゃないか~♪

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 18

1090m左岸にある最高の幕営適地。 ここなら大雨が降っても安心できます。 でも、もうちょっと上流部に入っておきたいな! と、欲をかいたのがいけなかった…。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 19

安栖沢は結構規模が大きく水量豊富な沢、 増水したらひとたまりもないな!と思いました。

これといった難所もなく(ゴーロが長く)単調ですが 渓相と森が綺麗♪まさに「癒しの渓」って感じで 単独遡行にはお手頃な沢だと思いました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 20

1210mの右岸に整地すれば一人用のテントなら どうにか幕営で来そうな場所を発見! ただし、万が一、雨が降って増水すれば 完全にアウトです。

ほんとここが最後の幕営地でした。 今日は8時間30分も歩きました。 核心部は入渓するまでの林道歩きでした。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 21

今晩から明朝に掛けては雨が降らない 確信がありましたので、ここにテントを張る ことにしました。

先日7月7日七夕の日に買ったばかりの ICIのオリジナルテントのデビュー日です♪ せっせと幕営地の整地を行い超快適な 「酔いどれ御殿」の完成です!

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 22

私にとっては超高級レトルトカレーです。 通常の価格の倍以上します。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 23

焚き火用の流木が少なく、集めるのに 苦労しました。やはり焚き火は絶対に したかったので、何とか根性で集めました。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 24

焚き火にあたりながら一人ウォークマンを聴き、 ウィスキーをすする。

空を見上げれば満天の星空! 時の過ぎ行くのを忘れてしまいそうで、 まさに至福のひと時でした♪

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 25

今回も大活躍のソーラーパフです♪ 結構 明るいのですよ~!

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 26

標高1210mの夜は(朝も)、ほんと寒くって 下界の猛暑がウソのようでした。

焚き火のありがたさを実感した次第です。 あっという間に時が流れ、 夜9時30分頃には寝たでしょうか。

2017年7月14日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 27

翌朝は4時起床! 焚き火を起こしカップラーメンと 玉子雑炊を食べ、5時20分に出発!

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 28

今日も暑くなりそうでしたので、 朝の涼しいうちに出来るだけ距離を 稼がなくっちゃね。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 29

すっかり源頭の雰囲気です。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 30

湿原とパヤパやの笹を漕いで 詰めていきます。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 31

幕営地から遡行すること1時間20分で 千沼ヶ原の水場、登山道に出ました!

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 32

千沼ヶ原を望みます。 ここからは、国見温泉まで大縦走! 笊森山~熊見平~湯森山~横岳~ 国見温泉のロングルート!

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 33

お花がたっくさん咲いていて、 ほんと癒され楽しかったです♪

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 34

また昨日に続き、お天気も良く、 眺望を満喫できたのも嬉しかったです。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 35

笊森山を望みます。 ほんと「笊」のような形をしていますね!

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 36

湯森山を望みます。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 37

熊見平の湿原に到着です♪ ほんと癒される場所です。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 38

一面、花、花、花のオンパレードで 縦走していて楽しかったです♪

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 39

こんな花も~♪ でも、この猛暑、何とかして~!

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 40

ふぅ~!やっと湯森山に到着! ここまでくれば一安心です♪

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 41

その湯森山から秋田駒ケ岳を望みます。 雲ひとつない快晴です! このところ、連日猛暑が続き、 下界では34度の日々が続いています。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 42

ちょっと早いお昼を食べます♪ セブンイレブンで買ったメンチカツパンです。 お腹が膨れるので、私のお気に入りです。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 43

ふぅ~!焼森に到着しましたよ~♪

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 44

横岳を経て横長根を下ります。 コマクサの群生と秋田駒ケ岳を望みます。

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 45

特に大焼砂のコマクサの群生が凄かったです。 登山者もたっくさん!

2017年7月15日撮影

秋田駒ケ岳 安栖沢 46

幕営地を出発して6時間10分、国見温泉の 駐車場に到着しました!駐車場は 物凄く満車状態でした(道路まで続いていた)。

容易な沢でしたが、熊に遭ったり、林道でヤブ漕ぎ を強いられたり、猛暑で最悪の体調での遡行 だったり、ある意味 思い出に残る山行となりました。

2017年7月15日撮影

GPSの軌跡

<2017年7月14日(金)>
行動時間 8時間 30分(休憩時間含む)

国見温泉(6時30分)==自転車==林道入口(6時40分)==10.5キロの林道歩き== 車止め 650m (8時40分) ここより先悪路~林道終点(9時50分)~安栖沢入渓(10時)~ 921m檜沢出合(12時20分)~999m二俣(13時10分)~1050m二俣(13時30分)~1210m幕営地(15時)

<2017年7月15日(土)>
行動時間 6時間 10分(休憩時間含む) 幕

営地(5時20分)~千沼ヶ原登山道(6時40分)~笊森山(7時10分)~熊見平(7時45分)~ 湯森山(8時40分)~焼森(9時50分)~横岳(10時)~国見温泉(11時30分)
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