掲載の本 |
チーズはどこへ消えた? 扶桑社 |
著者紹介 |
医学博士、心理学者。心臓のペースメーカー開発にも携わる。様々な大学や研究機関の顧問を務め、シンクタンクに参加する一方、著作活動を続けている。この功績を認められ、ハーバード・ビジネス・スクールの名誉会員となる。主な著書に、『1分間マネージャー』(共著)『1分間意思決定』『人生の贈り物』他、多数。 |
本の概要 |
本書は、時代や環境の変化を受け入れられない、あるいは受け入れたくないという人々に対して、「自分自身が変わらなければ、事体は決して好転しないのだ!」というメッセージを送るとともに、どうすれば自分自身を変える事が出来るのか?を2匹のネズミと2人の小人を物語のモデルとして懇切丁寧に語っています。 あらすじは、迷路の中に住む2匹のネズミと2人の小人。彼らは迷路をさまよった末、チーズを発見するのです。チーズはただの食料ではなく、人生において私達が追い求めるシンボル(成功、地位、財産、健康、精神的な安定など)なのです。ところがある日、そのチーズが消えてしまった!ネズミ達は本能のまま、すぐさま新しいチーズを探しに飛び出していくのです。ところが、小人達は、チーズが戻ってくるかもしれないと無駄な期待をかけ、現状分析にうつつを抜かすばかり。しかし、やがて一人が新しいチーズを探しに旅立つ決心をするのです。 IBM、アップル・コンピューター、メルセデス・ベンツ等、トップ企業が次々と社員教育に採用した本なのです。状況の変化に、いかに対応するべきか!を説き、各国でベストセラーとなった注目の書。全米で2年間にわたってベストセラー・トップを独走!世界で売上300万部を突破!日本でも170万部を突破し、99年度ビジネス書ベストセラーで第1位。今、話題沸騰のもっとも注目されている書なのです!本書の表紙には、『読んだその日から、あなたの人生が変わる!』と書いてあります。 |
迷路の中にチーズを置いた部屋があります。2匹のネズミ「スニッフ」と「スカリー」、2人の小人「ヘム」と「ホー」は、苦労したあと、偶然、たくさんのチーズが置かれている部屋を見つけました。しかし、誰かが移動させたのか?食べ尽くしたためか?このチーズが無くなったのです。単純にしか考えられないネズミは、すぐにまた迷路を走り回って新しいチーズの置場所を探し、やがて新しいチーズの宝庫に辿りついたのでした。
小人はこれまでの安楽さに固執し、変化したことを呪い、新しいチーズの置き場所を探しに行く勇気がなかったのです。空腹の毎日が続き、小人の中でも変化に乗ろうとする気持ちがやや強い「ホー」は、ようやく暗闇に足を踏み入れました。恐怖はやがて新しい喜びに変わっていったのです。そして、ついに新しいチーズの山がある部屋を見つけたのでした。
この物語に出てくる四つのキャラクターは、私たち自身が持っている色々な面(単純さと複雑さ)を象徴しています。2匹と2人は「迷路」の中に住み「チーズ」を探すわけですが、「チーズ」とは、私達が人生で求めるもの、つまり、仕事、家庭、財産、健康、精神的安定…等々の象徴なのです。「迷路」とは、チーズを追い求める場所、つまり、会社、地域社会、家庭…の象徴なのです。この意見シンプルな物語には、状況の急激な変化にいかに対応すべきかを説く、深い内容が込められているのです!
昔、ある遠い国に、2匹のネズミ「スニッフ」と「スカリー」と2人の小人「ヘム」と「ホー」が住んでいました。彼らはいつも迷路でチーズを探しまわっていたのです。食料にするためと、幸せになるために…。
ネズミは、単純で非能率的な方法、つまり試行錯誤を繰り返しながらチーズを探しました。一方、小人は過去の経験と思考を重ねて、高度な方法を作り上げてチーズを探しました。どちらも、ついに好みのチーズを、迷路の中のチーズ・ステーションCで見つけたのです。
もはや走りまわって探す必要は無くなったのです。毎朝、決まったように出かけ、くつろいでチーズを食べ、幸せに浸ったいました。教訓 「チーズを手に入れれば幸せになれる!」
しかし、ある時、チーズが消えて無くなっのです。その前からチーズはどんどん減っていたのですが、小人はその変化に気づいていなかったのです…。これでずっと幸せに暮らせると安心しきっていたのです。」
ネズミ達は、単純な頭脳しか持っていませんでしたが、優れた本能を持っていました。チーズが無くなる以前に、ネズミ達は、チーズ・ステーションCに着くと何か前日と変わった事がないか?を調べていたのです。チーズがだんだん減少していることに気付き、いづれは無くなると覚悟していたのです。ネズミ達は、再び、迷路の中を走りまわって新しいチーズの置場を探しに出かけました。非能率的かもしれませんが、試行錯誤を繰り返しながら探し回る旅にでたのです。そして、ついに新しいチーズ・ステーションNを発見したのでした。
一方、小人達は高度な頭脳を持っていました。物事を複雑に捉える思考方法するタイプだったのです。小人達は、安穏と食うに困らないこれまでの生活が忘れられなかったのです。待っていれば事態は好転すると考えていました。しかし、チーズは戻ってはこなかった…。次第に空腹に襲われ、衰弱していきました。再び、迷路に足を踏み入れることが恐かったのです!
2人の小人のうち、「ホー」は、もっといいことがあるに違いないと、うまく変化の波に乗ろうとする性質を持っていましたが、ヘムは新しいことに怯え、変化を認めず、変化に逆らう事さえあったのです。空腹が高まるにつれ、「ホー」が新しいチーズの置き場所を探しに出ようと「ヘム」を誘っても、ヘムは頑として動こうとしなかったのです。 ヘムは事体が変化しても変わろうとしなかったのです。事体を分析することだけに精を出し、無駄な真相の究明をしていたのです。「いづれチーズは戻ってくる!」とかたくなに信じていたのです。
ヘムは、自分のチーズは絶対安全だと思い、それを無くすると裏切られたように感じ、他人のせいにしていたのです。そして、状況をますます悪化させていったのです。迷路で道に迷ったり、しくじったりする事の不安と失望で、恐怖のあまり何も出来なかったのです。教訓 「チーズが大事であればあるほど、それにしがみつきたがる!
「ホー」は新しいチーズ・ステーションを、見つけ出そうとしていました。事体が悪化することを恐れたからです。このままでは、餓死してしまいます。そのような恐怖に駆られ行動を起こしたのです。時には道に迷うこともあるかも知れないけど、最後には新しいチーズが見つかるに違いないと思ったからです。「遅れをとっても、何もしないよりはいい…。」教訓 「変わらなければ破滅することになる!」
ついにホーは、チーズステーションCから出ることを決心した。新しい事を求めることに恐怖がありました。それでも、空腹が恐さを上回ったのです。そこでホーは気付きました。チーズ・ステーションCのチーズは、一夜にして消えてしまったわけではない事を悟ったのです。今になってわかる事は、何が起きているか?注意して見ていたら、変化に備えていたら、あんなに驚く事はなかった…。ネズミのスニッフとスカリーは、そうしていたのだ!いつ変化が起きるか本能的に感じとり、それに対応する準備をしていたのだ!
教訓 「常にチーズの匂いを嗅いでみる事、そうすれば古くなったのに気がつく!」教訓 「新しい方向に進めば、新しいチーズは見つかる!」ホーは自分が好きなチーズを食べているところを想像していると、イメージが明瞭になり現実味を帯びてくるのに気づきました。恐怖心にとらわれるより、プラス発想することの大切さを知ったのです。教訓 「恐怖を乗り越えれば、楽な気持ちになる!」教訓 「まだ新しいチーズが見つかっていなくても、そのチーズを楽しんでいる自分を想像すれば、それが実現する!」
ホーは失ったものではなく、手に入れられるものの事を考え続けました。「どうして変化は、何かもっと悪いことをもたらすなどと思っていたんだろう!変化はもっといいものをもたらしてくれるのに…」教訓 「古いチーズに早く見切りをつければ、それだけ早く新しいチーズが見つかる!」教訓 「チーズが無いままでいるより、迷路に出て探した方が安全だ!」そこで、またホーに新たな気付きがありました。「人が恐れている事態は、実際は想像するほど悪くは無いのだ!自分の心の中に作り上げている恐怖の方が、現実よりひどいのだ!」不安と恐怖は、思考力を鈍らせます。事態が好転すると思うより、十分なチーズが見つからないのでは?と考え、事態が悪化すると思う方が多かったのです。人は、考え方を変えると、行動が変わるのです!
教訓 「従来通りの考え方をしていては、新しいチーズは見つからない!」教訓 「新しいチーズを見つける事が出来、それを楽しむ事が出来るとわかれば、人は進路を変える!」教訓 「早い時期に小さな変化に気付けば、やがて訪れる大きな変化に対応できる!」これらの気付きの中、ホーは迷路を探し回った末に、ついに新しいチーズ・ステーションNを発見したのです!ここは、かなり以前からネズミのスニッフとスカリーが見つけ出した場所だったと気付きました。その証拠に既にネズミ達がいて、毎日チーズを食べて丸々と太っていたからです。ホーは叫びました。「変化に万歳!」と…。
ホーは、迷路で新しいチーズ置場を探し求めて暗闇を歩きながら、自分の教訓になると思った事を壁に書き残していったのでした。後からヘムが来る時の道しるべにもなるだろうと考えての事ですが、ヘムが気持ちを変えてくれる事も期待してのことだったのです。ホーは仲間のスニッフとスカリーから有益なことをたくさん学びました。彼らにとって、人生は常に単純なのです。事態をどこまでも分析しようとして、物事を複雑にしたりしなかったのです!状況が変わってチーズがどこかに消えてしまうと、自分達も変わってチーズを探しに出かけたのです。一方、ホーは優れた頭脳を使ってネズミたちより上手くやろうと考えたのでした。
★ 「ホー」がネズミ達から学んだこと
物事を簡潔に捉え、柔軟な態度で素早く動くこと。問題を複雑にし過ぎないこと。 変化に対する恐ろしいことばかり考えて、我を失ってはいけない。 小さな変化に気付くこと。そうすれば、やがて訪れる大きな変化に上手く備える事が出来る。変化に早く対応すること。 最大の障害は、自分自身の中にある。自分自身が変わらなければ好転しない!
●常に新しいチーズがどこかにあるということだ!その時点では、そうは思えなくても…。そして、恐怖を乗り越え、冒険を楽しむなら報いはあるということだ!●変化は災難に見えても、結局は天の恵みだった!より良いチーズを見つけるよう仕向けてくれたのだから…。チーズと一緒に前進しよう!そして、それを楽しもう!
ホーは、またしても気付きました。「チーズはどこかへ消えてしまった」ということだけじゃなくて、「チーズ自体に寿命があって、いつかは尽きるのだ!」その前に、迷路に踏み出し新しいチーズを探さなければならない!自分が変わらなければならないのだ!
私生活、夫婦仲を考えてみると、かなりひどいカビが生えている「古いチーズ」になっているみたい!「ダメになった関係にみぎりを付けるべきなんだろうね!」「違うよ!本当に捨てる必要があるのは、関係を悪化させている行動なのよ!これまでの行動を改め、より良い考え方、振る舞いをするようにすべきなんだと思う…」「つまり、新しい関係を築く事なんだね!」仕事で言えば、転職する事ばかり考えないで、自分の今の仕事のやり方を変えてみるのも一つの手だと思うの…!
変化は本当に新しいより良い所へ導いてくれるのね!心の中に新しいチーズのイメージを持つことで、いい気分になり恐怖心や不安が薄れるようになったの…。変化に不平を言うより「チーズは消えてしまった。さぁ~新しいチーズを探そうじゃないか!」と言えるようになった。
「変化」には必ず反発が起きるもの。なぜなら、人は現状維持を望むから…。何かが変わる事は、自分にとって不利だと思うから…。皆、変化は好ましくないと思うんだ!時代に先駆け、変化を嗅ぎ取り、行動を起こしたい!と思ったんだ。閉じこもって残されるよりもね!
この短い物語を読んで、境遇の変化にどう対応したらよいかを学んだ人達が大勢います。NBCテレビの人気キャスター、チャーリー・ジョーンズもその一人なのです。チャーリーは仕事熱心で、オリンピック放送の経験もあり、次のオリンピックでは花形の陸上競技の放送を担当するものと信じていました。しかし、上司から陸上競技から、水泳と飛び込み競技に変えると告げられ、驚き、動揺したのです。自分が評価されていないように感じて、腹を立て、怒りまくりました。そのとき、この物語を読んだのです。上司に「自分のチーズを持っていかれた」という事なのだと悟ったのです!悩む事がバカバカしくなり、気をとりなおして、水泳と飛び込み競技について勉強し、そのうち新しい事に取り組んでいると、若々しい気分でいられるとわかったのでした。
まもなく上司もチャーリーの変わりようと精力的な仕事ぶりに気づき、やがてもっといい仕事を任せてくれるようになったのです。その後いっそう成功をおさめ、のちにプロフットボールの栄誉殿堂入り(放送関係者部門)を果たしたのでした。
この本の巻頭に書いてあるAJクローンの寄せ書きが、まさに本書にピッタリの言葉で、印象に残っています。
人生は、自由に何の邪魔ものもなく歩めるような、 まっすぐで楽な廊下ではなく、 通る者にとっては迷路で、 自分で道をみつけねばならず、 道に迷い、わけがわからなくなり、ときには 袋小路につきあたることもある。しかし、信念があれば、 かならずや道は開ける。 思っていたような道ではないかもしれないが、 やがては良かったとわかる道が…。