大荒沢川 2

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和賀山塊 大荒沢川 1

10年前に単独遡行した時は、沢へのアプローチ で車道と林道を約10キロ近くも歩きました。 前回の反省を踏まえ「どうしたらアプローチの 時間短縮を図れるか?」を地図とにらめっこして 考えました(単独の場合、車の回収問題がある)。

その甲斐あってかショートカットルートを 利用することにより半分に短縮(4.8キロ) することが出来ました。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 2

しかし、上の写真のような草茫々の林道もあれば 右の写真のように快適な林道もありました。

車2台の場合は、一台を下山口の貝沢登山口 にデポ後、もう一台で銀河高原ホテル側より アプローチした方がよい。地形図の506m 付近まで普通乗用車でも入れる。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 3

地形図では、林道があるはずの場所なのだが…。 入渓前よりヤブ漕ぎを強いられてしまいました。 でも、ちょっとだけだったのでで良かったです。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 4

このような草原も歩き、大荒沢川沿いの 林道めがけて突き進んでいきました。

貝沢登山口から地形図の林道506m地点まで ちょうど1時間でしたので、車2台の場合、 林道歩きを1時間ほど短縮可能です。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 5

10年前は、ちょうど堰堤工事の真っ最中で 標高580m付近まで車が入れたようですが (当時、工事用の車が入っていたので)、 今回行ってみたところ林道は荒れに荒れていて 2万5千地形図の506mちょい手前までが 限界だと思います(今回釣り師の車が停まって いた)。

10年でこんなにも荒れるものなのか… と思ったほどです。 適当なところで沢へ降りて遡行した方が楽です。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 6

下流部は、穏やかな小川って感じです。 標高650mのゴルジュ帯入口(写真9)までは、 このような単調なゴーロ歩きが続きます。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 7

標高600mにある最後の堰堤。 この大荒沢川は「暴れ川」と称されるほど 雨が降ると一気に大増水するようで、 砂防堰堤が多いのも頷けます。

それもそのはず、入渓してみれば一目瞭然です。 標高650mから710mまで両岸絶壁の険しい V字状のゴルジュ帯が続くのですが、それ以降も かなり上部までV字の渓相が続きます。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 8

ゴルジュ帯に一旦入ると標高900mの二俣まで幕営 適地はありません(唯一、思いっ切り開ける場所)。 よって、雨天の入渓は絶対に避けなければ ならない沢とも言えます。

ゴルジュ帯の入口までは、水量も少なく まるで小川のような穏やかな流れなので、 そのギャップにきっと驚くことと思います。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 9

その標高650mの第一ゴルジュ帯の入口にて。 いよいよ、この沢の核心部に突入です!

10年前に遡行した時は(単独)、ゴルジュ出口に ある8m滝(写真20)の高巻き以外は、何の問題 もなく遡行出来たのですが…。10年でこんなにも 渓相が変わるものか…とビックリした次第です。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 10

ゴルジュ帯に入ると、切り立った側壁が高く 高巻きは絶望的です。前進あるのみ!

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 11

670mの深い釜を持った小滝。 沢も生き物、10年も経てば渓相も変わります。 前回10年前は、泳ぎはまったくありませんでしたが 今回はここのの突破に苦戦しました。

左岸より泳いで突破したのですが、流れが 強い上にホールドがテロテロで這い上がるのに 苦労しました。(3度目のトライでどうにかクリア)。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 12

V字状の渓の先に見える緑が とても美しかったです。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 13

登山体系に記載されている和賀山塊の沢は 全て入渓済みの私ですが、この沢だけは 和賀山塊の沢の中でも異色の存在だと思います。

和賀山塊の沢は「癒し系」が多いのですが、 この沢は大きなゴルジュ帯を有し顕著な V字渓相が特徴で岩肌の色、そして沢の 水の色もまったく異なります。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 14

北アルプスを思わせるような美しいゴルジュ (白い岩肌とソーダ水のような水の色)と、 ワクワクドキドキ、突破の際に緊張感溢れる パズルを解くような困難さと面白さ!

思いの他、楽には登らせてもらえない 場所もあり、単独ゆえ慎重に登りました。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 15

第一ゴルジュ帯の出口(690m付近)にある 豪快な8m滝。右岸の岩を登って越えられる。

写真で見るより豪快な堂々たる滝でした。 この滝を越えると一旦沢は開けますが、 直ぐに第二ゴルジュ帯になります。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 16

標高700m付近より第二ゴルジュ帯に突入! さらに両岸が狭まります。 水が冷たく、出来れば泳ぎたくないなぁ~!

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 17

結構 豪快なゴルジュです。 白い岩と水の色のコントラストが美し~い♪ 雰囲気が、まるでアルプスの沢みたいです。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 18

10年も経てば沢も変わり人の記憶も曖昧に。 部分的に思い出せる場所もありましたが、 まるで初遡行のような新鮮味溢れる 遡行を楽しめました。

10年前に遡行した時は、特に苦労する ことなく印象の薄い沢でしたが、今回改めて 遡行してみて「これが本当に同じ沢か?」 と驚いたほど、渓相が変わっていました。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 19

また水量も10年前に比べ、はるかに多かったです。 10年前が渇水状態、今回が平水だと思います。

腰や胸までの浸かる所は幾度もありましたので…。 10年前の44歳の私と、今の54歳の私では、 体力や遡行技術が衰えていることも否めませんが。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 20

第二ゴルジュ帯の出口(710m)にある この沢最大の核心部の8m滝。 10年前は滝の落口直ぐ手前の右岸側壁(岩と 泥の絶壁)を登って高巻いているようでした(単独なのでノーザイルで)。

今回そのラインを 見て(少し登ってみて)、「今の俺には無理かも…」 と思いました(空身で確保者いれば登れるかも)。 「10年前の俺って、凄かったのね!」と 驚いたほどです。

和賀山塊 大荒沢川 21

今の(10年後の)私には厳~しい! う~ん、高巻き出来そうな場所を隈なく探す私…。 十メートルほど下った右岸に急峻なルンゼが ありました。

「ここに望みをかけるしかないな!」 上部は、見渡せず登ってみなければわかりません。 ※写真19が見える右岸ルンゼです。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 22

周辺の地形は急峻な絶壁なので上部で絶壁に阻ま れる可能性は大です。でも、そこしか突破できそうな 所がありませんでしたので。

祈るような気持ちで 体一つがギリギリ通れるその溝のような狭い急峻な ルンゼを登っていきました。30~40mほど登った でしょうか…。上部に緑のブッシュ帯が見えた時は、 正直ホッとしました。「これで先に進めるぞ!」と。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 23

沢床へ降りるのに安全を期して 20mの懸垂下降(ギリギリ一杯)をしました。

これで核心部のゴルジュ帯は、おしまいです。 ほんとヤレヤレでした。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 24

820m付近は、岩が大きく豪快な渓相です。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 25

ゴルジュ帯が終わっても深い釜や小滝が 断続的に出てきて飽きさせず楽しませてくれます。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 26

相変わらず水の色が美し~い♪

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 27

880m左岸枝沢から流れ落ちる スダレ状の綺麗な滝にウットリ♪

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 28

エメラルドグリーンの水の色に心奪われます。

滝が連続し変化に富み、さらにウットリする ような白い岩肌が美しく飽きさせない秀渓です。 但し、下流部のゴーロ歩きは長いですよ。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 29

標高900m二俣のちょい手前の左岸側に ある超快適な台地上の幕営地! ここなら大増水しても安心できる場所です。 後にも先にもこれに優る天場はありませんでした。

25年前に買ったICIのゴアライト(1~2人用)が、 ボロボロです。縫い目の所に張ってあるシーム テープがベロベロと剥がれてきているし、 防水コートがポロポロと白い粉になって散乱…。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 30

薪も豊富で直ぐにたくさん集めることが出来ました。 これから至福のひと時を過ごします♪

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 31

この河原で焚き火と炊事をしました。 当然、天場の直ぐ側です。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 32

焚き火の煙がモクモクと…。 緑が美し~い♪

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 33

どんどん燃えてきました~♪ ちなみにこの沢、魚影はまったくありませんでした。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 34

単独行の強い味方、ソニーのウォークマン♪ これがあれば一人でも寂しくありません!

焚き火で温もりながらウィスキーを 片手に音楽鑑賞!楽しいひと時でした♪

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 35

今日の晩御飯は、コレ! 単独行ゆえ超軽量化しました。 お酒もウィスキー300mlのみ。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 36

出来上がりがコレです! 見た目より美味しいですよ~♪

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 37

下界は猛暑ですが、山は涼しく 朝晩は、寒いくらいでした。 焚き火の前から離れたくな~い! って感じです。夜9時前には寝ました。

2016年9月3日撮影

和賀山塊 大荒沢川 38

翌朝、目を覚ましたら5時を過ぎていました。 すっかり寝坊してしまったようです。

今朝の朝食はコレ! 軽量化出来る上にとっても美味しいんですよ♪ これを「おじや」のようにして食べます。 一人分で二つ使うのがミソです。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 39

朝は寒いので、やはり焚き火ですね♪

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 40

玉子スープご飯の出来上がりです♪ 食欲のない時でも、お茶漬けのように スイスイ食べられますよ♪

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 41

標高900mの二俣です。 ここは右へと進みます。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 42

V字谷の渓相がまだ続きますが、 水量が一気に減ります。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 43

標高940mにある小滝。 900mの二俣を過ぎても小滝が続き 楽しませてくれます。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 44

上の写真の小滝の直ぐ上にあります。 右岸より楽に越えられます。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 45

標高940mの二俣にて。 三条の滝が目印です。 右側から登り左俣へ入ります。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 46

960mにある20m滝。 高巻きは草付きで悪く、左壁をシャワーで登る。 高度感があります。 見た目より容易ですが、ロープが欲しいところです。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 47

たまには単独の泊まりの沢も良いものですね♪ 誰にも気兼ねすることなく、自分のペースで 遡行出来るのが魅力です。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 48

980m二俣手前にある深い淵を持った小滝。 10年前はここを突破しているようですが、 10年後の今の自分には、厳しい… 少し戻り右岸より高巻きました。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 49

980mの二俣にて。 本流は左ですが大荒沢岳へ 行くには右の枝沢へと入ります。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 50

最後の二俣、標高1070mの出合。 本流は、左のようですが右の方が傾斜が 緩そうなので右へと入りました。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 51

もう滝は出て来ないだろう!と思っていたら 1140m付近に20mもあるスラブ滝が…。 登れそうにも思えたが、単独だし 安全を期して右岸より高巻きました。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 52

どんどんツメていきます。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 53

最後は、大したヤブ漕ぎもなく 山頂直下の広大なお花畑に出ます。 気分最高のフィナーレでした♪

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 54

山頂直下の登山道に出ました!

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 55

大荒沢岳の山頂です。 以前は、こんな立派な標柱はなかったような…。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 56

山頂付近より和賀岳と 右に薄っすらと鳥海山が見えました。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 57

大荒沢岳の山頂を振り返る。 ネットで大荒沢川の遡行記録を検索しても、 ほとんどヒットしません。今回改めて遡行してみて、 もっと遡行されて良い沢だと思いました。

我が家から50分で行ける近場の沢ですし、 他の和賀山塊の沢に比べて流程も短いです (1泊2日あれば余裕で楽勝♪)。 10年振りに遡行してみて目から鱗でした。 ぜひ、沢好きな皆さんにお勧めしたい一本です!

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 58

大荒沢岳から貝沢登山口までの下山路 (一般登山道)も見事なブナの森を 堪能できて楽しかったです。

2016年9月4日撮影

和賀山塊 大荒沢川 59

下山後は、一旦帰宅しその後、喜盛の湯へ♪ ちょっと豪華なランチを食べました♪ 姫籠定食(950円)。写真右上のお蕎麦が 一番美味しかったです!

2016年9月4日撮影

GPSの軌跡

<2016年9月3日(土)>
行動時間 6時間 10分(休憩時間含む)

貝沢登山口に車デポ(6時50分)~大荒沢川林道 506m(7時50分)~最後の堰堤 600m(8時50分)~ ゴルジュ帯入口 650m(9時30分)~ゴルジュ帯出口 710m (10時30分)~900m二俣の天場▲(13時)

<2016年9月4日(日)>
行動時間 4時間 40分(休憩時間含む)

▲(6時30分)~980m出合手前の20m滝(6時50分)~1070m出合(7時30分)~大荒沢岳(9時)~ 沢尻岳(9時40分)~1010m前山分岐(10時20分)~貝沢登山口(11時10分)
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